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鼠径ヘルニアは筋肉を鍛えれば治るのか?

鼠径ヘルニアなのに腹筋してしまうおじさん

結論から言えば、鼠径ヘルニアは手術以外に治療法はありません。

鼠径ヘルニアは筋肉じゃなくて筋膜に穴が開く病気。筋膜は鍛えられない!

鼠径(そけい)ヘルニアは、鼠径部(下腹部~足の付け根部分)の筋膜が弱って穴が開いてしまい、その穴から腸が出っ張る病気です。

患者層は広く、乳幼児〜高齢者まで発症します。ただし、子供の鼠径ヘルニアと大人の鼠径ヘルニアは少し種類が異なります。子供の場合は先天的な鼠径ヘルニアで、大人の場合は先天的要因(体質)に加え、後天的な要因がプラスされて発症します。主に加齢に伴って全身の筋肉が弱くなったことが発症のきっかけであることが多いです。

鼠径ヘルニアに悩む患者さんの中には、『それなら筋肉を鍛えて強くすれば出なくなるのでは?』『筋肉がつけば穴を塞ぐことができるんじゃ?』と考え、腹筋を頑張ってしまう方もいらっしゃいます。

しかし、すでに発症した鼠径ヘルニアにとって、腹圧のかかる筋肉トレーニングは禁忌!余計に穴が拡がってしまいかねません。

鼠径ヘルニアを発症する前であれば、筋力トレーニングは全身の筋力アップにつながるのでプラスに働きますが、発症してしまったら時すでに遅しです。

鼠径ヘルニアの穴は、筋肉ではなく筋膜に空いた穴です。筋肉は鍛えることができますが、筋膜は鍛えられません。

鼠径ヘルニアの筋膜を手羽先に例えてみた

筋膜のイメージがつかない方は、手羽先を想像してみましょう。

肉厚な美味しいところが筋肉で、骨や関節周りについている薄い膜が筋膜です。

筋膜がどんなものか、なんとなくイメージできましたでしょうか。

鼠径ヘルニアになっているのに筋トレをすることは、穴の開いた靴下をガシガシと履き続けるのと同じようなことなのです。

そんなことをしたら、どんどん穴は拡がってしまいます。

鼠径ヘルニアを悪化させないためには

鼠径ヘルニアを発症してしまったら… 治療するには手術しかありません。

とはいうものの、お仕事への影響や家庭の事情もあるでしょうし、すぐに手術できる方は少ないでしょう。あとは手術が必要とわかっていても『なかなか手術の決心がつかない…』と長年思い悩んでいる方もいるでしょう。

手術まで少し時間が空いてしまう場合、鼠径ヘルニアを悪化させないためにいくつかポイントがあります。

鼠径ヘルニアの悪化を防ぐ3つのポイント

  • 太らないこと:内臓脂肪がつくとその重みが鼠径ヘルニアの負担になります。
  • 腹圧がかかる動作を控えること:腹筋やダンベル使用のトレーニングなど、お腹に強い力がかかる運動は避けましょう。鼠径ヘルニアの負担になります。軽いジョギングなどの全身運動は違和感がなければ適度に行っても構いません。
  • 一日に1回以上必ず中に押し戻すこと:鼠径ヘルニアの嵌頓(かんとん)状態になることを予防するために、鼠径ヘルニアが出っぱなしにならないように意識しましょう。

日常生活の中でそれほど制限はかかりませんが、ベッドから起き上がったときや排便時のいきみ、くしゃみや咳、重たいものを持ちあげたときなど、意外と腹圧がかかるシーンは多いです。お腹に力を入れるときは、鼠径ヘルニアの膨らむ部分を手で押さえ、膨らみが出てこないようにしてあげるといいです。

また、職業が力仕事の場合はお腹に力を入れずに仕事するというのはなかなか難しいでしょうから、できるだけ早めに手術されることをおすすめします。

鼠径ヘルニアは時間が経つとだんだん穴が拡がり、膨らみが大きくなります。大きくなると手術の際に傷を大きくとらなくてはならなくなったり、手術後の腫れが大きく出たり、男性だと手術後に水が溜まりやすくなったりします。大きくなると多少そのような問題はでてきますが、それでも日帰り手術はできます。

一方、完全に戻らなくなった鼠径ヘルニアは日帰り手術は難しいため入院が必要になります。鼠径ヘルニアの膨らみは出っぱなしのままだと戻りにくくなってしまうことがあるので、日々戻ることを確認することが大切です。

『手術するなら日帰りで!』とお考えの場合は、毎日気づいたときに膨らみを押してお腹の中に戻してあげましょう。起床時にもぺったんこになっていることを確認しましょう。毎日ちゃんと戻っていれば一安心です。


鼠径ヘルニアについて、新宿外科クリニックのホームページでも詳しく説明しています。見てみてくださいね。


鼡径ヘルニア・下肢静脈瘤の日帰り手術専門新宿外科クリニック

新宿外科クリニックは、都内で下肢静脈瘤・鼠径ヘルニア・透析アクセスの日帰り手術を行っている外科クリニックです。

2007年に東京都新宿区西新宿で開院して17年。診療日は毎日診察・手術を行っています。

診察の際は、初診から予約をお願いしております。お気軽にお問い合わせください。

【クリニックへのアクセス】

JR新宿駅南口を出て右手に、甲州街道沿いをまっすぐ歩いて徒歩7分。

JR線、京王線、京王新線、小田急線新宿駅から徒歩圏内で、東京メトロ丸ノ内線新宿駅、都営大江戸線(新宿駅・都庁前駅)からもアクセス可能です。


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